ふわりと着地した嘉さんがそっと私を地面へと下ろし、私を庇うように前へと出る。


遠くで大鎌を構え直した戒哲が私達をじっと見つめ、ケタケタとうるさく鳴く鳥は上で距離を保ちつつこちらを観察している。


ギリギリの所で大鎌を弾き返した嘉さんは、そのまま距離を取って移動したみたいだ。


状況的にこちら側の不利と言えるこの状況だけど、嘉さんはどこか楽しそうに尻尾を揺らした。


そして羽織っていた羽織を私に向かって投げる。


すかさずそれを受け止めると、嘉さんは後ろを振り返らずに尻尾で私に羽織を着させた。



「いいか、前も言ったようにお前はここから一歩も動くなよ」


「は、はい」


「絶対にだ。動いたら承知しないからな」



威圧的なその言葉だけど、なぜかその言葉が暖かい。


力強く頷きながら大きくはい!と答えると、嘉さんは素早く動き出した。


いつの間にか見慣れた尻尾は三本と数を増やし、抜いた刀を構えて風のように駆けていく。


動いた嘉さんに、戒哲も走り出した。