その威圧に足が怯みそうになるけれど、強気のまま挑む。
気持ちでも負けてたら、すぐに捕まる気がした。
そしてふつふつと湧いてくる怒りに、口を開けてその怒りを投げつけた。
「訳も分からずに連れてこられて、鎖で繋がれて私がはいはいとあんた達の言うことでも聞くと思ってるの?!」
「鎖なんかに繋いだ覚えはないんだが」
「薄暗い部屋に閉じ込められて鎖に繋がれてたのよ!!逃げ出さない方がおかしいわ!」
伊鞠くんがいなかったら私はあのままどうしていたんだろう。
考えただけで怖い。
今のこの状況よりも、うんと怖い。
自分でどうするかを考えて行動できるこの状況の有り難みを感じる。
だから、このチャンスを絶対に無駄にはさせない。
「なんで私の力がほしいのかちゃんと言って!」
「……俺は正直、あんたがほしい。力なんてものはあっても使えないからな」
「それなのに力が欲しいっていうの?」
「こっちには大事なものが掛かってるんでね」
何が目的なのか全然分かんない。
あの子は戒哲が騙されてるって言ってたはず。
でも騙されてるような感じはしない。
一体何がほしいの……この人は。



