「鬼ごっこは終わりだ。小娘さんよ」
その声と共に体の力が吸い取られるように、抜けていく。
ガサリと音がする方へと首を動かせば、そこにはさっき私を見つけては追いかけまわしたあの鳥がいる。
なんで……あれだけ距離を離したっていうのに。
そしてゆっくりと黒い霧が集まり始めると、声の主が現れる。
「……戒哲」
「名前覚えてくれたんだ。そりゃ、どうもありがとう」
嬉しくもなさそうにお礼を言って、大鎌を担いだ戒哲をきっと睨んだ。
見つかりたくない相手に見つかってしまった。
戒哲に見つかってしまえば……終わりと言ってもいいかもしれない。
でも、負けるわけにはいかない。
「どうしても私の力がほしいっていうの?」
「当たり前の事言わないでくれるか。お前を逃がしたら、全てが無駄になるんだよ」
「そんなに欲しい理由を話さなきゃ、私は大人しく捕まるつもりはないけど」
構えながら言うと、戒哲は大きくため息をついた。
私を見る目は、なぜか苦しそうに見えた。
でもすぐに睨み返される。



