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「ケケケケケケ」


古い扉が軋むような音と共に月明かりが影を作った。


隣で鳴く真っ白な骨だけの体を宙に浮かせる鳥――骨戯(コツギ)を見た。



「どうやらこの街に……人成らざるモノが俺達以外にもいるみたいだなあ」



昼間に生み出した式神はどこかへ消えた。


気配を追ってでかい建物へ来てみれば、ここで途切れている。


人間には見えることのない存在なのに、人間が倒したなど矛盾したことが起こったわけではない。


つまりは何者かの手によって消された。


それも意図的に。


まあ……いい、何も情報がないまま動くよりはこの情報は動くための大きな手がかりともなる。


冷たい夜風に向かって胸元から一枚の札を取り出し、風に踊らせた。



「さあ……お前の力を示せ」



青白い光が月夜に照らされたこの街に、怪しく光る。


小さく笑って夜の闇に消えるようにしてその場を後にした。