チリチリと何かが擦れる音がしてふと伽耶ちゃんの顔を見れば、目元の下に浮かび上がる蒼白い綺麗な……鱗?
じっと見つめる前に伽耶ちゃんが目を開けると、それは一瞬で消える。
その代わりに伽耶ちゃんの瞳が綺麗な藍色の瞳に色を染める。
その瞳に吸い込まれるように見つめていると、体から何かが抜けていくようなそんな感覚に体が軽くなっていく。
「下界との扉を今ここに!」
天を仰ぐように体が反ると、胸から何かが飛び出していった。
花火のように打ち上がると、視界に映った獣耳にモフモフの尻尾。
逆光で姿しか見えなかったけど、なんとなく嬉しさが滲み出ているような表情をしていたような気がした。
すると体が軽くなる感覚より睡魔が襲ってきて意識が遠のいていく。
どこかでキューと、鬼毅牙が鳴く声が聞こえる。
淡くなって消えていく光の粒を数え、その光に手を伸ばす。
でも何も掴めるわけはなくて、力は抜けていく。
「お前の力は、俺のものだ」
そう耳元でしっかりと聞こえる。
鈴の音が頭に響くように鳴り、微かな頭痛に顔を歪める。
サラッと流れる風が心地いい。
痛みが消えて、モヤモヤボヤボヤする頭。
「っ!!」
はっと我に返ると体に力が入る。
辺りを見渡して嘉さん達の姿を探し――
「……あれ?」
微かに日が傾いた空に、道を曲がっていく車の音。
カラスのマヌケな鳴き声に、ただポカンと口を開けるしかできない。



