「あとね、これは俺からのご褒美」


そう言うとテンちゃんは何も持っていない両手をあたしの頭上にかざした。


なんだろう?


と思っていると、体が暖かくなっていくのがわかった。


わき腹の痛みや擦り傷の痛みが緩和されていく。


そしてあっという間に傷はなくなり、体と心がとても軽くなっていたのだ。


「テンちゃん、傷を治してくれたの!?」


「そうだよ。本当は自分や天使仲間を助けるための力なんだけど、蘭ちゃんがとっても頑張っているから特別に」


「ありがとう!」


あたしはそう言い、思わずテンちゃんに抱き着いてしまった。


体と心が健康になるとどこまでも行けそうな気がしてくる。


なんだってできてしまいそうな気がする。


健康であることは、とても大切なことなんだ。


あたしに抱き着かれているテンちゃんは真っ赤になり、頭から湯気を立てていたのだった。