ナナちゃんのお母さんはカウンターの前で買い物かごを持ち、慌てた様子で店員を何かを話していた。


その姿を見た瞬間、ナナちゃんが繋いだ手を離した。


「ママ!!」


そう言い、たどたどしい足取りで母親へ向かって走り出す。


途中でこけそうになるナナちゃんを見て「あっ!」と思ったけれど、その体はナナちゃんのお母さんによってしっかりと抱きとめられていた。


「本当に、ありがとうございました」


ナナちゃんのお母さんはあたしに深く頭を下げてそう言った。


ナナちゃんのお母さんは買い物の途中にナナちゃんがはぐれてしまった事に気が付き、店員さんに事情を説明していたところだったらしい。


説明を聞いていた店員さんは安堵の表情を浮かべ、あたし会釈をするとレジに戻って行った。