「若を呼べっ!!」

「救急車!!」

「っ!?」

突如廊下に響き渡った声に、全員が動きを止める。

次第に大きくなっていく騒ぎに、ただ事でないことが起こったのは明らかだ。

『今日、組員を殺す』

『俺らは永塚組を潰す。んで、琴葉チャンは、永塚組から逃げ出したいんだろ?俺が琴葉チャンを逃がす代わりに、俺らに加担してほしいって訳だ』

舛田の言葉が頭をよぎる。

まさか、まさか本気でそんなこと…。

「様子を見てくる。お嬢も琴音もここで…」

「っことねぇ!?」

台所を飛び出して、騒ぎの大きい玄関へ向かう。

慌ただしく動く組員たちの間をすり抜け、先へ進む。近づくごとに鼻を突くのは鉄の臭い。