その途端、イラついたのを自覚して、台所から視線を背け、頭を抱える。

くっそ、どうしてあの程度でイラついてんだ俺は。

琴音と暁はいつも一緒にいる。あれぐらい当たり前だろうが。

分かっていても、イラつくのを押さえきれなくなっていく。その速度は、琴音があいつだと分かる前以上で…。

「…っくそ」

今更どうしろってんだ。

琴音は永塚に必要で、仕事は十分にこなしている。

俺は琴音に何を求めようとしている。与えた仕事以上に求めようとする何かは、もやもやと霧に包まれたまま。

はっきりしない自分に更にイラついた。

「…き、りゅ………さん?」

「っ!?」

掠れているような声に我に返る。目の前に立つ琴音に、らしくもなく緊張した。

「…だい、………じょ…………ぶ?」

「…あぁ。少し疲れただけだ」

心配そうに眉を八の字にする琴音の頭を撫でる。それでも納得しない琴音を何とか言い聞かせて台所に戻した。

季龍side end