「言いたいことはそれで全部か?」

源之助さんの声に空気が引き締まったように感じる。

源之助さんは、怒りも悲しみも見せずただ希龍さんを見つめ返していた。

「…確かに、今じゃなくてもよかった。お前の不安も分かる。だが、言えば琴葉ちゃんを連れ出せんだろう」

言われた言葉に、さっきの推測は正しかったんじゃないかと思う。

源之助さんは、何か目的があるの?私が何か知っていることが必要なの…?

考えるほどに頭が混乱する。

季龍さんも何かを察したのか眉を潜め、私に視線を向ける。

でも、その探りはすぐさま終わりを告げた。

「…親父の考えはわかんねぇ。でも、こいつを危険に巻き込むことだけはやめてくれ」

「あぁ、もちろんだ。わしも琴葉ちゃんを危険にさらすくらいなら、やらないよ」

季龍さんが引き下がったことで、源之助さんも微笑んだ。

引き締まった空気が抜け、思わずため息をこぼす。