「ハァ‥良かった、間に合った…。」 「ねぇ、ママ…。」 「ほら行くわよ。」 私は息子の話を聞こうとはせず、手続きを済ませて機内に乗り込んだ。 窓際に座ったダルは不安そうに窓の外を見ていたが、私は久々の休暇に胸が高鳴るのを感じていた。 離陸してしばらくすると睡魔が襲ってきた。 連日の残業や仕事の持ち帰りで、このところ寝不足が続いていたのだ。 少しだけでも充電しておこう。そう思い、敢えて睡魔に抗うことはしなかった。