向かいの校舎に見えるのは職員室と校長室。


いつもと変わったこともない風景なのにどうしたんだろう。



「……あ」



見つけた時には私は声を漏らしていた。


あの髪、あの顔。


……リックだ。


引っ越してきたとは言ってたけど……


まさか、ここに通うことになる人だったとは。



『知り合いか?』



ウィリーが他には聞こえないくらいの小さな声で囁く。


小さく頷き自分の席へ着くと、紙のうえにサラサラと文字を書く。



“あれ、私が言ってたお友達の人!”



そう書いて誇らしげな表情でウィリーを見る。


だけど、何の反応もない。


もう……少し反応してくれたっていいのに。