先生に促され、教団の上に立つ。


緊張した素振りもなく、堂々としている。


一人一人の顔を見るようにじっくりと教室内を見渡す。


すると私と目が合った所でその動きは止まった。


ふっと優しい笑みを浮かべて私を見る。


体が反射的に動いて椅子から立ち上がる。


ざわざわとする教室で、私はもう彼しか見えていなかった。




懐かしくて、暖かい。


初めて会うはずなのに、体は覚えてる。


自分をコントロールできない。


じわりと涙が溢れでた。


頬を伝う涙が一つ、また一つと流れていく度に彼を求めていた。



「……またなって言ったろ?」



凛とした声が耳に心地いい。


わかんない、わかんないよ。


初対面なのになんでこんな気持ちになっちゃうの?