一匹の蝶が私の元へふわりふわりと飛んでくる。


すんと鼻を啜ると、そっと鼻に留まり羽を小さく羽ばたく。


しばらくの間蝶は私の鼻に留まり続けた。


私に何かを伝えるようにじっとしていた。



「……君はどこから来たの?」



蝶なんかに話しかけても返事は返ってくることはないって分かってても、どうしても聞きたかった。


不思議な力を感じるこの蝶に。


じっと蝶を見つめていると強い風が髪を乱し、咄嗟に目を閉じた。