ふと横を見れば、記憶の中にいる母の姿がそこにあった。 母は大きく頷き微笑むと、唄を歌い出す。 記憶の片隅にあるこの声。 ああ……これは母の歌声だったんだ。 毎晩聞かせてくれたのはこの唄だったんだね。 「うがっ……がっ!や、やめろっ!!それ以上歌うな……歌うな!!」 今にも倒れそうなリックを無視して、私は唄を歌い続ける。 ウィリー聞こえる? 母の教えてくれた唄、私ちゃんと覚えてた。 記憶の隅にあったんだよ、ちゃんと。 だから聞いていて。