真紅の髪をあきあげるとリックは自分の体に炎を纏わせた。


結界があっても、そこから伝う熱が分かる。



「何って言われるとねえ?まず一つ、お前を殺したって事実が欲しい」


『……』


「魔界騎士団長を殺したなんて言ったら、俺の地位はどこまで上がる?それだけでも利益がでかい」


『地位か……』


「そしてもう一つ。お目当ての巫女の力まで一緒に奪える。そんな俺に怖いものは何もない。心配なんぞ何一つなく、何千年と封印されていた禁断魔法――不死の杯が解ける」



巫女の力……?


それがこの光の正体なの?


リックの声に耳を傾ける。


なんで私のことよく知りもしないリックが、力のことを知ってるのかが謎で仕方ない。


二人でいた時間の中で私を試すようなことをしていたら、そう思って記憶を遡る。


たわいのない話に、精霊についての話。


……精霊……もしかして。


自分を縛る魔力を解く。



「あーあ……馬鹿が気づいちゃった」



今まで見えることはなかった私の周りを取り巻くようにいる透き通る羽を持つ精霊達がそこにいた。