このパターンはまた馬鹿にしてるやつだ。


もう何も反応してやんない。


ふんと顔を横に向けて、べーと舌を出した。



『いやぁ、なかなかに素晴らしかったぞ。褒めてやろう』


「はいはい、どうもありがとう!」



なーにが素晴らしかったよ。


こっちは命懸けでハラハラドキドキの連続だったんだからね。


そんなウィリーに褒められても足りないくらい心臓出てきそうだったんだから!!!


妙に腹立たしいけど、怖かったけど。


でもまず普通の人だったらありえない体験できたからそれで良しとしてあげる。


家に帰ってまた魔法の練習して唄のこと調べて、ぐっすり眠ろう。


さて、帰るよと言おうと口を開いた。


けどそれよりもウィリーが先だった。



『……さて。ここからが問題だぞ――リーシェ俺の後ろから離れるなよ』



え?と声を漏らしたその瞬間、風が旋律を描く。


そのまま小さな竜巻が巻き起こる。


その竜巻の中心に立つ人影。


必死に目を凝らしてその人影を見つめる。