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じっと壁に額を当てて願いを込める。
誰よりも強くウィリーを思う。
それだけで私は強くいられる、だからお願い。
もう一度助けを呼ぼうとした、その時だった。
『ようやく見つけたぞ。小娘』
聞き覚えのあるあの声。
はあ……ついに幻聴まで聞こえるようになっちゃったみたい。
まあこれはこれでいつでもウィリーの声が聞こえるんだから、良しなのかな。
涙を拭って立ち上がりもう一度助けを呼ぼうとしたその時。
『ルセルス・ゼロ』
呪文が聞こえ、私のすぐ後ろで真っ暗な部屋に光り輝く魔法陣が現れる。
そして私の大好きなあの香り。
そこに現れたのは白馬に乗った王子様なんかじゃない。
でも私が一番会いたかった彼。



