ぼやけていく頭の中でウィリーの姿を一生懸命思い出す。


優しくて、時折からかいながら笑うあの笑顔が好きで。


憎たらしいって思ってもどこか可愛い奴にしか見えなくなって。


そんなウィリーが人を襲ったなんて嘘。


信じられない、信じたくない。



「ゼルス」



聞いたこともない呪文をリックが唱えると、私とリックの間に見覚えのないシャツが現れた。


真っ赤に染まったそのシャツを手にして、リックは私を睨んできた。