その時窓から吹き抜けて来た風に乗って流れてきた香り。 その香りに自然と口が動いた。 「ウィリー」 『ん?』 「決まり。あんたの名前、ウィリーね」 ウィリスタン――この大陸のこの時期にしか咲かない珍しい花。 蕾の時はこれは本当に花が咲くのかと思うくらいに真っ黒な蕾をつける。 だけど、季節が巡ってくると綺麗な青い花びらを咲かせるこの国では季節を象徴させる花。 その花の香りが、ウィリーと顔を近づけたあの瞬間に香ってきたのを思い出す。