唄……?
そんなものなんの役に立つって言うのよ。
私には何もないっていうのに!!
「怒らないで。あなたは何も悪くない。ごめんなさい、リーシェ。こんなアタシをどうか許して。でも……私はあなたを最期まで愛していたわ」
記憶の片隅にいる母の姿はどうしてもぼやけたまま。
でも心を包み込むような暖かさを感じる。
「お願い……この子をどうか救って……」
そう最後の声を振り絞るように力が抜けた。
解放していた魔力が徐々にまたこの姿を隠すように消えていく。
立ち上がろうとしても足に力が入らない。
ウィリーの顔が……見れない。
くっと下唇を噛んで自分の存在を憎むしかなかった。



