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「……久し振りだね」

正直にいうと少しドキッとした。

「……日直?」

「うん、学級日誌取りに来たんだ。杉浦先生出張だしね」

「……」

朝、職員室の前の廊下で私は久々に明日斗と言葉を交わした。

不思議なんだけど、付き合ってた頃はあれだけ明日斗に不満があったのに、今はそれが遥か大昔の事だったように感じる。

もっとこうしてよ、もっと私を見てよ。

なんでそうなの?!どうして私がいちばんじゃないの?

……なんだか、笑っちゃう。

子供じみててワガママで。

懐かしくもあってついクスッと笑ってしまった私に、明日斗は驚いたようだった。

「あ、ごめん。何でもないんだ」

その時だった。

「牧瀬さん」

「はい?」

振り向くと、そこには眼鏡をかけた男の子が立っていた。

……同じクラスの冴木くんだ。

「どうしたの?」

「忘れてるんじゃないかと思って…一校時目、社会だけど視聴覚室だよ。鍵要るよ」

「うわっ!すっかり忘れてた!ナイスアシスト!ありがと、冴木くん」

冴木くんがニコッと笑った。

「どういたしまして。昨日ラスイチだった焼きそばパン譲ってくれたお礼」

「あははは!律儀~!あ、じゃあね、明日斗!」

私は明日斗へ軽く手を振ると、再び職員室へと舞い戻った。