目が覚めると、あたしは綺麗な服を着せられていた。


薄い生地で作られた、新しい服だとすぐに気が付いた。


「百合花、大丈夫か?」


そんな声が聞こえてきて周囲を見回すと、そこには和と両親がいた。


「みんな……」


上半身を起こそうとしたとき「まだ寝てなさい」と、お母さんが人差し指を使ったあたしを布団へと戻した。


ガーゼで作られた通気性のいい布団だ。


この服も布団も、きっとお母さんが作ってくれたんだろう。


体も綺麗に洗われていて、石鹸の香りがしていた。


懐かしい家の石鹸の香りに思わず笑顔がこぼれた。


しかし、景色は自分の家ではないことがすぐにわかった。


大きな部屋。


見慣れた黒いテーブル。


ここはそう、あたしが小さくなってしまったときにいた、実験室だ。


「なんで、みんなここに……?」


一瞬、地震の影響で家が倒壊してしまったのかと思った。


けれど、両親の真剣な表情を見ているとそうではないのだとすぐに悟った。