あたしは手を伸ばしその紐に飛びついた。


振り落とされないようにしっかりとつかまり、ヒモが編み込まれている部分に足をかけた。


跳ねあげられた土が顔にあたらないよう、スニーカーに顔をうずめる。


しばらくすぐと、ピピッと音がして車の鍵が開くのがわかった。


これから先は車で移動するようだ。


どこまで行くのだろう?


できれば家の近くまで行ってほしいけれど、あたしの家の方面は地震の被害が大きい。


買い物に行くとすれば、きっと逆方向だ。


それでも、家から脱出できたことはおおきかった。


赤い車に乗り込んだのを見計らい、あたしはスニーカーの上から下りて、助手席の下へと身を隠した。


ここにいれば見つからない。


ホッとした瞬間、あたしは意識を手放してしまったのだった……。