暗黒王子と危ない夜


椎葉くんの声で、ようやく我に返った。

バイクにまたがったままあたしを見ている。



「襲われるとかマジで災難だったな」

「あ、ええ……と」

「七瀬からラインで事情聞いた」

「ああライン……そうなんだね」



電話じゃなくラインで説明したのは、あたしに気を使ってくれていたのかもしれない。



「家こっから近いんだって?」

「うん……まっすぐ行って、2つめの交差点曲がったらすぐ」

「ああ、コンビニあるとこの道か。了解」



そう言った椎葉くんが、ひょいと自分のヘルメットを投げ寄越してくるから、思わず受け取ってしまったけれど。


「……え?」

「乗れよ」


固まってしまう。


「後ろ、乗りな」