暗黒王子と危ない夜



そんな、少しずつ明るい会話が戻ってき始めたときだった。

ピンポン、……と扉の方からベルがかすかに聞こえた。



お客さん……?

あたしたちと同じような、わけありの患者さんが運ばれてきたんだろうか。


わずかに緊張が走る。

治療室から、本多くんの手当をしていた人──先生が出てきた。



入り口の方へ向かい、扉を開ける。

入ってきたのは、帽子を深くかぶった大人の男性だった。



すると突然、慶一郎さんがガタリ、大きな音を立てて立ち上がった。


何事かと見てみると、まるで、幽霊でも見ているような顔をしていて。


……視線の先には、帽子の男性。



次の瞬間、あたしたちは全員耳を疑った。



「──佳遥、さん」



幽霊でも見ているような顔、

いや、本当に

慶一郎さんは

幽霊を見ているのかもしれない。



その男性も、慶一郎さんを見ていた。

口元が、わずかに上がっているのが見えた。



「慶一郎君、久しぶりだね」