あたしの腕を振り切り、三成は廊下へ飛び出した。
ざわりと胸騒ぎがして、どうするべきか悩みながらも、体は自然と三成が出て行った方へと向く。
前方の扉が開き、先生が姿を見せる。
騒がしかった教室がシン…と静まり返ると同時、あたしは後ろの扉から教室を抜け出した。
心拍数が異常に上がっている。
2時間も連続で授業を放棄する日が来るなんて思いもしなかった。
だけど今、頭にあるのはそんなことじゃなく。
─失踪から7年。
本多くんはいつもと変わりなかったように見えたけれど。きっと知っていたはず。
表の変化には気づけなかった。
それよりも気にかかったのが三成。
明らかに様子がおかしかった。
当人の本多くんより動揺して、怯えるように震えていた。
あの暗く沈んだ瞳は何を見ていたのか。
「──三成っ」
走ったせいで息があがる。
やっと見つけた後ろ姿に叫ぶ。
「……馬鹿かよ。なんでお前まで抜け出してんだよ」
「三成、が……急にでて行くから」
「それ答えになってねぇ」
「今からどこ行くつもり?」
答えるのを渋っているようだった。
けれどすぐに、迷っている時間さえ惜しいとでもいうような焦った顔つきでこちらにつかつかと歩み寄り、腕を掴む。
「七瀬がやべぇかもしんねえ。お前も来るか?」