暗黒王子と危ない夜


「お母さんは仕事でいつも遅いから。……お父さんは、単身赴任で遠くにいるんだよね」

「へえ。そんじゃあ、キョウダイとかは」

「いないよ、ひとりっ子」

「そうか」


バイクのエンジンが止まった。



「一人って嫌か?」

「今は……もう慣れたから、べつに」


寂しさを無理やり押さえ込んで答えると、三成は少し難しい顔をした。



「俺は家に帰ったら家族が誰かしらいて、それがうぜぇとか思ってんだ。けどそれは、今まで一人になったことねぇから思う事なんだろうな」

「……三成は家族といるの、苦痛なの?」

「縛られんのがすげー嫌いでさ。生き方とか好きなことに口出されるとか、たまったもんじゃねえよ。ほんとーは家出たい」


強い口調。それは普段の三成を見ていてもなんとなく伝わってくる。

自分の好きなことを真っ直ぐに好きだと表現して、自分の生き方に対して熱い思いを秘めているような。


だけど三成は、あと1年経てば──。