暗黒王子と危ない夜



流れる風景が、だんだんと見慣れたものになっていく。

あたしの住む住宅街の灯りが見え始めると、急に夢から現実に戻されたような感覚になり、少し寂しい心地がした。


あんなに帰りたかったのに、今はまだ家に着いてほしくない。

本多くんと顔を合わせる勇気がなかっただけで、あの賑やかな場にいたほうが、本当は気が紛れたはず。


すっかり慣れていたはずなのに、誰もいない家に帰ることに対して、ふと孤独感が芽生えた。


……このままずっと道路を走ってたいな……。


そんな願いは叶うわけもなく、三成のバイクは、やがてあたしの家の前で静かに停止する。


「おい、着いたぞ」

「……うん」

「……降りねぇのか」

「……降り、るよ」


体を横に向けて、そろりと地面に足をつける。

いつもと同じ。家の中は真っ暗だ。


「お前んち誰もいねーの?」


あたしのヘルメットを受け取りながら、三成が聞く。