暗黒王子と危ない夜


空気の抵抗を強く感じる。本人なりにスピードを落としてくれてるってわかるものの、初めて乗るバイクはやっぱり怖かった。

自転車に乗っているのとはわけが違う。
激しい振動が直に伝わってくるし揺れも大きい。

曲がり角で傾くたびに、落ちるんじゃないかと、ひゅっと息を呑む。


うっかり離せば、ほんとうに死んでしまう。

ただ……バイクは怖くても、ハンドルを握る後ろ姿は、なんだか頼もしくて少し安心した。


赤信号でバイクが止まると、三成は一度ヘルメットを脱いで、後ろを振り返った。



「大丈夫か。気分とか悪くねえ?」


そんな心配をしてくれるから。


「……大丈夫。ありがとう」


あたしも少しだけ体を離して、顔を上げる。


そうか、と頷いて三成が再び前を向けば、耳元のピアスがきらりと光った。

複数の中でもひときわ目立つ赤いピアス。



「……ねえ、三成」

「なんだ」

「この前から思ってたんだけど、そのピアス……赤いの。綺麗だね」