本多くん、笑ってるけど……。
本当はどんな気持ちなんだろう。
色んな人から常に反感や妬みを買って。
学校生活以外のことに、かなりの時間と労力を費やして……。
三成くんと中島くん。
ふたりが本多くんの話をするときは、決まってどこか暗い表情をしていた。
「もっとも、お気に入りなんてどっかの誰かが勝手に言い出したことで。おれ自身そうは思ってないし、慶一郎さんもそう。仕事に必要な、ただの道具」
「……なんで本多くんは、そんな人と一緒にいるの」
思わずぽろりと零れてしまう。
傷ついているんじゃないの?
苦しいんじゃないの?
それならどうして、そんな場所にいるの……?
怒りにも似た感情が、胸の奥からじわりと這い上がってくる。
「使い捨てられることがないからかな」
「……えっ?」
横断歩道の手前、
点滅していた青が、赤に変わった。
「ただの道具だけど、慶一郎さんの言うとおり……理想通りに動けるのは、おれしかいないから。……それが俺の在り方だから」
すぐには理解ができなかった。
あたしが知りたいのは本多くんが慶一郎さんのそばにいる理由なのに、
本多くんが答えたのは、慶一郎さんが本多くんをそばにおいている理由だ。
でも──。
“ おれの在り方 ”
───『七瀬は、こちらから理由を与えないと暴走する。』
ふと慶一郎さんのセリフが頭をよぎって、なにかが繋った気がした。
一瞬、掴めた気がしたけれど、根幹にたどり着くには足りなかった。
「“道具”っていうより、犬、のほうが合ってるかもね。従順な忠犬」



