暗黒王子と危ない夜


目が合って、びくりと体が固まる。

怖い人ではないのに、初対面だと極度に緊張してしまうあたしの悪い癖が、ここでも出た。

頷いて、目を逸らしてしまわないように意識しながら「初めまして」とあいさつを返す。



「相沢萌葉です……」


小さくて上ずった声しか出なかったけれど、どうにか聞きとってもらえたようで。



「萌葉ちゃんか、ずいぶんと可愛らしい子を連れてきたね……。どういった経緯で?」

「っ。えっと、成り行きで……?」



どう答えたらいいかもわからず返した言葉に、その人は楽しそうに笑った。



「その制服は七瀬君と同じ高校だね。話を聞いてみたら面白そうだ」



そんな言葉に曖昧にうなずくことしかできない自分が嫌になる。

もっと自分から話を振ることができればいいのに。
頭では思っていても、どうしても喉奥でつかえてしまう。