「ち……さと……」
風の小さな声が聞こえて来て、あたしの心を鷲掴みにする。
「おめでとう」
力を振り絞ってそう言う風に、涙が込み上げて来る。
けれど、風の前で泣いたりなんてできなくて、あたしは空を見た。
今日は良く晴れていて、涙なんて似合わない日だ。
「明日は卒業式なんだよ、風」
あたしは話題を変えて風にそう言った。
今でもお互いの小指に光っているビーズの指輪。
すべてはここから始まったんだ。
「卒業式……しよう」
「え?」
「俺たちだけの……卒業式」
風がそう言い、微かにほほ笑んだ。
弱弱しいほほ笑みだったけれど、それは確かにいつもの風の笑顔だった。
「そうだね。しよう。2人きりの学校。2人きりの卒業式を」
あたしはそう言い、風の手を強く握りしめたのだった。
風の小さな声が聞こえて来て、あたしの心を鷲掴みにする。
「おめでとう」
力を振り絞ってそう言う風に、涙が込み上げて来る。
けれど、風の前で泣いたりなんてできなくて、あたしは空を見た。
今日は良く晴れていて、涙なんて似合わない日だ。
「明日は卒業式なんだよ、風」
あたしは話題を変えて風にそう言った。
今でもお互いの小指に光っているビーズの指輪。
すべてはここから始まったんだ。
「卒業式……しよう」
「え?」
「俺たちだけの……卒業式」
風がそう言い、微かにほほ笑んだ。
弱弱しいほほ笑みだったけれど、それは確かにいつもの風の笑顔だった。
「そうだね。しよう。2人きりの学校。2人きりの卒業式を」
あたしはそう言い、風の手を強く握りしめたのだった。



