どうして忘れてしまうのか、自分でもよくわからない。


たぶん、そう簡単に未来を変える事ができない、ということなんだと思うけれど。


「チアキ、教えて」


「なにを?」


「どうすればあたしは忘れずに過ごす事ができるんだろう?」


「そんなの知らないよ。だって、千里は千里だもん」


チアキはそう言うと、大人っぽく肩をすくめて見せた。


その仕草にあたしはほほ笑む。


思えばチアキも随分と大人っぽくなった。


最初はあたしが考え出した子供だったけれど、自分が成長するのと同じようにチアキも成長していたようだ。


その容姿だけは今も変わらないけれど、中身はあたしよりもずっと大人になっているかもしれない。


「あたしはあたしか……。それってさ、あたし次第でどうにかなるってこと?」


「さぁね?」


あたしの問いかけにチアキは意地悪くそう返事をして、そして消えて行ったのだった。