まさか床には置けないし、カウンターに出しておくわけにもいかないし、と一旦いそいそ裏にしまいに行く。


奥には従業員用の和室があって、テーブルもあるから、そこに瀧川さんからいただきましたって書き置きを添えておいた。


急いで戻ると、おいでおいで、というようににこにこ手招きされたので、カウンターじゃなくて瀧川さんに近寄る。


私が置きに行った間にか、あらかじめ選り分けてあった今度の紙袋は、随分と小ぶりのものだった。


はいどうぞ、と気軽に手渡されたので、なんだろうと思いつつ、ありがとうございます、と受け取る。


「こちらは立花さんに」

「え!? ありがとうございます!」


私が受け取ったのを確認してから誰宛かを言うあたり、確信犯だろう。


真白い箱におしゃれに書かれたロゴは、ラスクの有名店の名前だった。


びっくりして、ありがとうございますを力いっぱい言うくらいしかできなかった。


「お好きだとおっしゃっていたので」


え、と一瞬意味を掴み損ねて思い当たった。


あああ、あれか……! ラスクが好きですって言ったからか!

何か探してみますって、ラスクをってことじゃなくて、ちょうどよさそうなお菓子を探してみますって意味だとばかり思ってた……!


あわあわしている私にはお構いなしで、瀧川さんは深く腰を折った。