「ごちそうさまでした。とても美味しかったです。ありがとうございました」

「とんでもないです。急にお誘いしてしまってすみませんでした。お茶もお心遣いありがとうございます。早速今晩にでも美味しくいただきます」


駅までの道のりをのんびりご案内して、帰りはことさらのんびり歩き、無事に着きました、と帰宅後連絡を受けてしばらくした頃、家族が帰ってきたのだけれど。


食卓の上にあるお茶を見て、開口一番「あれ、今日って何か記念日だった?」って言うものだから、思わず笑ってしまった。


「違うよ、いただいたの」

「えっ、どうして?」

「お茶をごちそうしようと思ってお招きしたら、手土産にくださったの」

「ええっ」


経緯を説明したところ、すごいね、気が利く方だね、と瀧川さんの株がうなぎのぼりだった。


そうだよね、うちへの手土産にお茶って完璧だよね。

しかもこれ、手土産の範疇ではあるけれど、ちょっといいものでお高いのに。


ほんとすみません……とっさにご自宅用で美味しいお茶ならこれだなと思ったんです……。