そんな事を考えながら過ごしていると、家庭訪問の日になっていた。


あたしとお母さん、それに担任の先生がリビングに集まった。


あたしの家庭が少し複雑な事を知っている先生は、慎重に言葉を選んで話を進めていた。


「最近、なにか変った事はない?」


「特にないです」


「小橋さんは無理してない?」


「あたしは大丈夫です。だってお母さんが一緒にいてくれるから」


あたしがそう返事をすると、先生はお母さんを見てほほ笑んだ。


「そうですか。それなら少し安心しました」


実の母親が一緒にいるということは、先生にとっても心強いことなんだろう。


話題は理央へと変わって行った。


理央の家は学校内で一番の資産家だ。


その理央が今はクラスカースト最下位まで落ちていることを先生は知っている。


学校で嫌な事があって辞めたりしないか、それを懸念している様子だ。


「二ノ宮さんと一番仲がいいのは小橋さんだよね? だから、相談とかにも乗ってあげてほしいと思って」


「理央ならきっと大丈夫ですよ」


あたしは早口で答えた。


資産家の娘が学校を辞めたがることを気にかけているだけだと、すぐに気が付いていた。