海にいた時は真っ暗でよく見えなかったその顔が、今はしっかりと見える。


色黒で整った顔立ちをしている。


短い黒髪は清潔感があり、とてももてそうな人だ。


「違うって、何が?」


そう質問され、あたしは大きく息を吸い込んだ。


馬鹿だと怒られる事を覚悟して男性を見た。


「『過去ポスト』って知ってますか?」


「『過去ポスト』……?」


「そうです。過去にいる人へ手紙を届ける事ができるポストです」


あたしは鞄の中からスマホを取り出し、『過去ポスト』について書かれているページを表示させた。


「これを、君は信じて探してたってことか?」


男性はサイトを読んだ後、そう聞いてきた。


「そうです。こんなもの存在するはずがない。それはあたしもわかってるけど……」


言いながらも、自分の声がどんどん小さくなっていく。


それならどうして探しているのかと聞かれたら、やっぱり都市伝説を信じているからだとしか言いようがなかった。