〈 ヤバかった…… 〉




私はゾンビに噛まれなかったことにホッとしながらも、赤い木刀をかじりついて放さないゾンビに怯えていた。




〈 早く逃げなくちゃ……。

私はこんなところで死ねない! 〉




少しずつ冷静さを取り戻しつつある私に、ゾンビたちのうめき声が聞こえてきた。




下の階から迫ってくるゾンビたちは、私が足止めをくらっているのを待ってはくれない。




早くしなくちゃ、私はあのゾンビたちの群れに飲み込まれる。




早くしなくちゃ……。

早くしなくちゃ……。




焦る私は赤い木刀を噛みついたまま放さない、醜いゾンビに目を向けた。




このゾンビをどうにかしなくちゃ……。




私はこんなゾンビに負けるわけにはいかないから。