首がへし曲がった女のゾンビが、私の足に噛みつこうとしているその瞬間を私はスローモーションでも見ているような感覚で見ていた。




ゾンビに噛まれたら、ウイルスをもらって、ゾンビになってしまう。




瑞穂も海斗も最後はおぞましいゾンビになって、仲間を襲ってきた。




そんなのって、私は嫌だ。




私はゾンビなんかになりたくない。

絶対に!




私はそう心で強く願い、無意識のうちに、赤い木刀をコンクリートの階段めがけて、振り下ろしていた。




そして次の瞬間、私が振り下ろした赤い木刀に女のゾンビがかじりついた。




私は、間一髪で助かったことにドキドキしながら、赤い木刀に歯を食い込ませている醜いゾンビを見つめていた。