ひとりでに涙がこぼれ落ちてきた。




この『ゾンビ街』で死んでいった人たちのことを思うと、やるせなかった。




今、私に課せられている指命は、センタービルの最上階にあるサーバーを破壊して、この最悪の世界を消し去ることだ。




そして、もう二度とこんな最悪の世界に紛れ込む人がいないように、ドリーム社と戦うことだ。




だから私は、走らなきゃ。




苦しくても、走らなきゃ……。




18階の階段の踊り場に私がたどり着いたとき、私はそこに誰かがいるのに気づいて、立ち止まった。




〈 あの人は、高藤秀郎。

どうしてあの人がここに…… 〉




スーツ姿の四十代。

私たちがこの『ゾンビ街』で最初に出会った『ゾンビ街』の案内役。




そんな高藤が階段の踊り場に立ち尽くし、私を見て、ニヤリと笑った。