「蒼太がオレと戦うつもりなら、オレも遠慮なく戦わせてもらうぜ」




眼球を一つ失い不気味なゾンビの顔になってしまった海斗が、ゆっくりと立ち上がり、蒼太と向き合った。




「オレの悶えるような乾きを癒してくれるのは、人間の新鮮な肉なんだ。

だから蒼太、オレにお前の肉をくれ!」




そう言って、口を開き、ヨダレを垂れ流している海斗は、本当に醜くかった。




かつての友達の変わり果てた姿に、私の胸は押しつぶされそうなほどに痛んだ。




そして、振り返れば、そこには津波のように押し寄せてくるゾンビたちの大群がいた。




早くしなければ、私たちはあのゾンビの群れに飲み込まれる。




時間は限られていた。




私たちは早く海斗を押しのけて、上の階に行かなければならなかった。