「食わせろ!」




そう叫んで、海斗が私に襲いかかってきた。




私は悲鳴を上げ、目を見開き、何もできないままに、その場に立ち尽くしていた。




ドリーム社は、どうしてこんなにも残酷なゲームを作ったのだろう?




私、友達に食い殺されるなんて、夢にも思ってなかったから。




もしも願いが叶うなら、私は悪夢にうなされる前の自分に戻りたい。




私と蒼太と海斗と麻美。




みんなが友達だったあの頃に……。




私が絶望の中、未来をあきらめそうになったとき、口を大きく広げ、歯をむき出しにした海斗を蒼太が思いっきり突き飛ばした。




「蒼太……」




私は恐怖で膝をカタカタと震わせながら、蒼太の名前をつぶやいていた。




「海斗、悪いな」




蒼太はそう言って、廊下に倒れ込んだ海斗を見下ろし、金属バットを振りかぶった。




「オレたちは仲間だったけど、オレは海斗を倒さなくちゃならないんだ。

オレには約束があるから。

凛子とした大切な約束が」




蒼太のその言葉に私の胸はしめつけられた。




蒼太は私との約束のために、海斗と戦うつもりなんだ。




蒼太、私ね、蒼太が一番、繊細で傷つきやすいって、知ってるよ。




それを思うと、胸が痛いよ。




だって、友達と戦うって、一番、蒼太らしくないことだから。