「いやぁぁぁ!」




私は醜い顔のゾンビを間近で見て、思わず叫び声を上げていた。




腐った皮膚、そげ落ちた頬の肉、目から流れ落ちている真っ赤な血。




そのどれもがグロテスクで、見ているだけで血の気が引いた。




「凛子、逃げるぞ!」




蒼太がそう叫んで、私の手を引いた。




そのとき、一体のゾンビが茶色く変色した腐りかけの腕を伸ばし、私の服をつかもうとしていた。




「食わせろ!」




ゾンビの低く不気味な声を聞くと、私は思わず震え上がった。




逃げなくちゃ……。




私は恐怖に顔をひきつらせ、迷路と化しているビルの五階フロアを走り出した。