「ねぇ、美紗さん。

美紗さんは、この『ゾンビ街』のこの場所の周辺から出られないようになっているって、前に私たちに言ってましたよね」




私は美紗の顔を見つめ、感情がせきを切ったかのように言葉を繋げた。




「美紗さんは、それでも納得して生きていけるんですか?

世界はとっても広くて、その世界の中には楽しいこともたくさんあるのに、この狭い空間の中に閉じ込められて……。

美紗さん……。

美紗さんはこの家を離れて、どこか遠くへ行きたいと思いませんか?」




私のきつい問いかけに、美紗は嫌な顔一つせずに、にこりと笑った。




「私はこの場所にいることに、少しも不満なんてないんですよ。

私は自分が何者かを知っているから。

私はこの『ゾンビ街』のプレイヤーの休息所の管理人なの。

それが私の宿命。

宿命は変えられないの」




「宿命ですか……」




私はそうつぶやくと、下を向いて考え込んだ。




宿命って、いったい何?




それって、絶対に逆らえないものなの?