早乙女凛子とホラーゲーム

宏美を襲っていたゾンビは操り人形のような不自然な動きで立ち上がり、
海斗と向き合った。




「食わせろ!」




海斗と向き合ったゾンビは、うめき声を上げて口を広げた。




もしもこのゾンビが生きていたら、三十代の男性だったと私は思う。




長身で、痩せこけており、腐った魚のような濁った目は、ギロリと海斗をにらんでいた。




「食わせろ!」




男のゾンビが不自然な前傾姿勢で、ゆっくりと海斗に近づいていった。




海斗は機関銃を撃ちたくても、流れ弾の心配から機関銃を撃つこともできずに、男のゾンビと向き合っていた。




〈 機関銃を撃てないなら、海斗が不利よ!

ゾンビは死なない。

何度殴りつけても、立ち上がって、襲ってくる。

いったい、どうすればいいのだろう?

どうすれば……。

どうすれば…… 〉




何の打開策もないままに、私が海斗を見つめているとき、バスがゾンビを踏み越えた衝撃で大きく揺れた。




海斗はその突然のアクシデントに、バランスを崩して仰向けに倒れた。




私はその瞬間を息をのんで見つめていた。




無防備な体勢の海斗にゾンビが近づく。




「食わせろ!」




男のゾンビは、うめき声を上げると、海斗に勢いよく襲いかかった。