早乙女凛子とホラーゲーム

バスが激しく揺れながら進む中、吐きたくなるような悪臭を漂わせる痩せこけたゾンビが、宏美に噛みつこうと、醜い顔で口を広げた。




ゾンビに噛まれたら、ウイルスをもらって、その人もゾンビになってしまう。




そうなってしまったならば、もう夢から覚めることなく、
その人は『ゾンビ街』の世界をずっと醜い姿でさ迷い歩かなければならない。




そんなのって、本当に生き地獄だ。




それならば、死んでこの世からいなくなってしまった方がまだマシだ。




「食わせろ!」




ゾンビがいつものセリフを吐いて、宏美に襲いかかった。




でもそのとき、海斗が背中に背負った機関銃を逆手に持って、ゾンビの顔を殴りつけ、
バスの中に、ゾンビの腐った肉が飛び散った。




殴られたゾンビは、その醜い顔を海斗に向け、憎しみのこもった目を見開いた。




「食わせろ!」




ゾンビの地を這うような低い声が、バスの中で響いた。




バスの中のプレイヤーたちは、ゾンビを怖れて、息を潜めている。




海斗はそんな緊迫した空気の中で、機関銃を打撃の武器に変えて、
ゾンビに立ち向かった。




「海斗!」




私はこんな状況の中で、何をしてもいいかもわからずに、海斗の名前を叫んでいた。




〈 海斗、負けないで!

海斗、ゾンビに殺られないで!

海斗は私の仲間だから。

私の大切な仲間だから 〉