早乙女凛子とホラーゲーム

私は臆病で怖がりな人間だ。




怪談話も聞けないし、ホラー映画だって見れない。




夜中、一人でトイレに行くのも、お風呂場で目を閉じるのも苦手だ。




私が好きなのは、癒し系の甘い世界。




そんな私が、おぞましいゾンビたちと、命をかけて戦っていた。




ゾンビたちは次々と現れて、いつ底がつくのかもわからない。




この機関銃の弾も、もしかしたら、切れて、なくなってしまうかもしれない。




私に襲いかかってくる不安は、次から次へと溢れてくる。




不安は恐怖だ。

不安が膨らめば膨らむほど、私の中の恐怖は大きくなる。




だけど、私にどれほどの恐怖が襲いかかってきても、私は決してゾンビなんかに負けたくなかった。




〈 私は早乙女凛子よ!

他の誰よりも負けず嫌いな女なの!

私はドリーム社が作った空想の世界になんて、絶対に負けない! 〉




私がゾンビを倒すことに夢中になって、機関銃を乱射しているとき、私の近くで車のエンジン音が聞こえてきて、
車が急停車するタイヤの音が響き渡った。




私がそのタイヤの音がした方に目を向けると、そこには大型バスが止まっていて、
その大型バスの運転席から、宮崎和真という二十代の坊主頭の男性が、プレイヤーみんなに叫んでいた。




「みんな、早くこのバスに乗れ!

ゾンビの群れを突破するぞ!」




私たちは和真その言葉に、生き残りの希望を見出だした。




「みんな、あのバスに乗るぞ!

急げ!」




海斗は私たちをかばうように、機関銃を乱射しながら、そう叫んだ。




「海斗、お前も逃げろよ!

とても倒せる数じゃないよ」




「大丈夫だ。

オレはここで時間を稼いだら、ちゃんとバスに乗り込むよ!

いいから、早く行けよ!

オレを困らせるな!」




私たちは、海斗が必死に叫ぶその声を聞きながら、大型バスに向かって走り出した。