「食わせろ!」




いつも優しくて、人当たりのいい話し方をする瑞穂が、
低く不気味なうめき声を上げた。




そんな瑞穂の目は、黄色く濁って、麻美を獲物として見ていた。




麻美は起きてはならない最悪の事態に、ドキマギしながら、瑞穂との距離を取り始めた。




「瑞穂、冗談でしょ。

瑞穂がゾンビになっちゃうなんて、そんなの嫌だよ。

ゾンビウイルスの解毒剤はあったんだよ。

瑞穂は助かるんだよ」




麻美が言ったその言葉は、瑞穂には届かなかった。




瑞穂はすでに知性を失い、人間を食べる本能に従って、麻美に襲いかかった。