蘇りの館を出てすぐに、私は瑞穂の様子がおかしいことに気づいた。




瑞穂はなぜか、思い詰めた表情でうつむき、自分の手を見つめていた。




私はそんな瑞穂が心配になって、話しかけた。




「どうしたの?

そんな暗い顔してさ」




私が話しかけても、瑞穂は私に顔を向けもせずに、じっと自分の手を見つめていた。




私はそんな瑞穂の様子がおかしいと思いながら、瑞穂の目線の先にある瑞穂の手に目を向けた。




すると、瑞穂の手には、わずかながら血がにじんでいた。




私はその傷跡を見て、ドキリとして瑞穂に言った。




「どうしたの?

その傷……」




私がそう訊いても、瑞穂はうつむき、何もしゃべらなかった。




私はそんな瑞穂の態度を見ていると、あってはならない事態が頭をよぎって、心臓が早鐘を打ち始めた。